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ARS ELECTRONICA 2014 デバイスアート国際展:学生インタビュー特集

ARS ELECTRONICA 2014 デバイスアート国際展:学生インタビュー特集

ARS ELECTRONICA 2014・デバイスアート国際展の運営に携わって

現地インタビュー(2014年9月3日取材)

現地インタビュー以降、他に携わった業務はどのようなものがありましたか?

佐藤:Prix Ars Electronicaの授賞式であるGALA 2014(09/05)の会場準備、アーティスト誘導、Golden Nica賞のトロフィー授与の補佐などを行いました。また各カテゴリーの受賞者によるトークセッションであるPrix Forum(09/06-09/07)の会場設営やアーティスト誘導、来場者の案内、運営などを担当しました。

髙鳥:当日は、Future Innovators Summitでのコミュニケータとして、私の担当するグループの博報堂スタッフ様およびイノベータの皆様のアシストをしていました。具体的には、会場移動の引率や、イノベータの希望する作業環境の用意、ディスカッションの内容書き出しなどです。また、FIS会場内の展示物について、来場者に原理の説明や体験方法の指示を行いました。

西田:現地インタビュー以前は出展作品” Robot Mask ”のセットアップを、インタビュー後はプレス発表のためのデモンストレーションの準備・練習と、一般公開のための説明内容の確認などを行っていました。また他の出展作品のアーティストとの交流を通して、自身の研究に関連する知見やメディアアートに関する知見を得ました。

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今回の出張を通してどのようなことが学べましたか?

佐藤:芸術・先端技術・文化の祭典であり、メディアアートに関する世界的なイベントであるArs Electronica Festivalに参加し、主にフェスティバルの”裏側”のお手伝いをさせて頂いてイベントのオーガナイズを体験することができました。また、Device Art展の展覧会オーガナイズを通じて、どのように展示すればよりよく作品を映えて魅せることが出来るのか、その手法などに関しても学ぶことができました。さらにはPrix Forumによってアーティストの作品制作に対するモチベーションを伺うことが出来ました。

髙鳥:まず痛感したのは、英語の必要性です。特にイノベータの方々の議論を聞いていて感じたのですが、自分の現在の活動について話せることは当然として、相手の意見を聞き議論できるレベルまで英語力を高めなければ、相手との協同や連携は生まれないことを実感しました。

次に感じたのは、一般の方々に公開する際は、原理や学術的な意味よりもまず、体験した際の印象が大切になるということです。展示の準備段階から、来場者の体験が重視されていました。電源コードはカラーテープで隠す、作品を置く台は継ぎ目の無い無地のものなど、アルスエレクトロニカの細かなこだわりから、来場者の体験をよりよくする工夫が見られました。

西田:様々な工学的手法を駆使して伝えたい内容の本質を表現しようとする作品や、工学的構成物そのものを芸術作品として表現するもの、人と人とのインタラクションをデザインしその様子に芸術性を持たせようとするものなど、多様な表現手法を学ぶことができ今後の私たちのものづくりのあり方に影響を与えました。また展示パネルや紹介映像には効果的な視覚伝達デザインや視覚効果が用いられており、ビジュアルデザインの重要性を改めて認知しました。

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今回学んだことは、EMPやご自身の活動のどのような点に生かしたいですか?

佐藤:特に作品を”魅せる”ことに関して学ぶことが多かったと思います。エンパワースタジオで展示を通じてシステムを洗練する研究スタイルをこの先経験していく予定ですが、どのようなスタイルの展示をするのか、より多くの人に来て頂くためにどのように告知・アピールするのか、など今回学んだことを生かして展示を進めていきたいです。

髙鳥:自分の英語力を高めることと平行して、研究内容を充実させることも大切であると感じました。英語が話せても、自分が今行っている研究について魅力的に話せなければ意味がありません。ですので、学会等で発表した内容については積極的に英語で説明できるように準備し、まとめ直しておくなど工夫したいと思っています。また、自分の研究内容について発表や展示を行う際は、相手の専門性に合わせて、それぞれの目に魅力的に映るように内容を選択、変更するようにしたいと思います。

西田:現地では、コンテンツを持つアーティストが展示会場やfablab(多様な工作機械を備えた、市民などが利用できるオープンスペース)に出向いて、来場者や一般の市民に向けてワークショップを開催するなどしていました。こうした知識を共有・伝播する場に出向いて人を集め交流する機会を設けることは、今後本プログラムが学生間・地域において主体的に活動する上で大変有効であると感じました。特に本学が得意とする補完、協調、拡張の各分野の実践的・概念的なレクチャーを一般の市民や学生に向けて実施することは本プログラムのプレゼンスの向上に寄与すると感じました。

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最後に、魅せ方力とはどのようなものであると思いますか?

佐藤:作品やデバイスなどを作っただけでは誰も見てくれないし、評価されないと感じています。本質的な部分で何を伝えたいのかということを分かりやすく伝えなければならないと今回のインターンシップを通して思いました。作品/デバイスを使ってみたいと思わせるような展示の手法や見る人や評価する人の事まで考慮した表現が魅せ方力であると考えております。

髙鳥:前述しましたが、相手の専門性に合わせて、それぞれの目に魅力的に映るように内容を選択、変更する力だと思います。自分の伝えたい情報を押し付けるのではなく、相手の必要とする情報を見極めて、図表や動画など適切な可視化を行うことができる能力が、魅せ方力なのではないでしょうか。もしくは、自分が伝えたい情報について、相手に興味をもってもらえる(相手が必要と感じる)様な説明ができる、相手が受け入れやすい形で情報を提供できる能力のことをいうのだと思います。

西田:現地でのアーティストの様々な活動の観察を通して、魅せ方力とは単に視覚効果や話術が優れているだけでなく、それらとコンテンツの中身・本質全てを総括して聞き手が得られる説得力に近いものであると改めて感じました。アーティストは新しい作品を日々社会に提案し、問題提起や創造的刺激の提供を目的に活動しています。リーディング大学院生は単純な説明だけでなく自らのアイデアを人へ提案する機会が多く、アーティスト同様に説得力の体得は今後重要になります。本展示会のような様々な表現手法を持つアーティストが集まるイベントに参加し、最前線の魅せ方力を体験・実践することは本プログラムが目指す魅せ方力の育成に大きく貢献すると感じました。

佐藤さん、髙鳥さん、西田さん、どうもありがとうございました!

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